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九州ちくご元気計画・第二回ミーティング
先月から、九州ちくご元気計画の講師を勤めています。
講師といっても、一つの事業プロジェクトを、厚生労働省の補助金を利用して最大で2年間サポートするという役回り。
僕の今までの生業は、「建築を設計する」という非常に明確なものでした。
この元気計画の講師は、これから何をしていくか、ということを事業者と一緒になって考えるという、今まで経験したことのない仕事です。
僕が直接手を動かしたり、プロジェクトをグイグイ引っ張るというよりも、事業者が自走できるような状況をつくりだすことが役割です。
寄り添い、見守り、励ますという感じ・・・。むしろ僕が学ぶことのほうが多いかもしれません。
僕が担当することになったプロジェクトの事業者は、築263年の古民家に住むご一家。この古民家を拠点とした、地域興しに繋がる事業をしたい、という思いを強く持っていらっしゃいます。
築263という数字は、調べれば調べるほどそれだけで非常に価値の高いものだということがわかってきました。蔵に無造作に転がっている品々(器や什器など)も、この地域の歴史と風土が凝縮されているものばかり。
また、この地域の自然の恩恵を受けて、お茶やお米、ゆずといった農産物を育てる農業を営んでいらっしゃいます。そしてその農産物を自分たちで消費するといとても豊かな食生活がここにはあります。
日本から失われつつあるこうした環境に、非常に高いポテンシャルを感じますが、事業として成功できるかどうかは、モノを扱う「設計」とはちがい、なかなか予測できません。
このプロジェクトにおいて、僕の生業である設計という職能は一旦封印せざるを得ません。でも、先の投稿でも書いた「状況のデザイン」として捉えると、むしろ得意で興味がある分野です。
今回は第二回目のミーティングでしたが、ひとつ宿題をお願いしていました。
それは、今だに現役で使っている釜で炊いたご飯をご馳走してください、というもの。豊かな食生活を僕自身の舌で堪能することで、より状況への理解は深まります。
御年86歳の照子さんが、時間をかけて炊いてくれました。
そして、採れたての竹の子を酢味噌であえた一品なども添えられ・・・。
写真が少ないのですが、僕は食べ物の写真が苦手です。というか、撮る前に気づくと食べてしまっているので、撮り忘れるといったほうが正確ですが。
味はいわずもがな、最高。
今回の記事の主役は照子さんでしたが、次回は、この家の次世代を担う、プロジェクトの若き牽引者、スミヒロ君を紹介したいと思います。
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