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MARALUNGA 40th Anniversary/ SATORU 39th Anniversary
長いこと更新をサボっておりました・・・。
サボっている間に、先々月末のことですが、39歳になりました。
人生の一つの区切りと言われる40歳を迎える直前の1年を、大切に過ごしていきたいと思います。
40歳といえば・・・
これまたちょっと前になってしまいますが、家具メーカー、カッシーナさんが主催するトークイベントで「40th anniversary カッシーナとマラルンガ」という講演を聴く機会がありました。
マラルンガとは、1973年、僕より1年早く誕生して以来40年間、カッシーナの主力商品に君臨し続けているソファの名称です。
(写真:Cassina ixcのHPより引用)
ライフスタイルの変遷、技術の進歩や流行の変化を超え、40年にわたってカタチを変えずに愛され売れ続けるプロダクトは、そう多くはありません。
先駆的なデザインはもちろん、拘りに満ちた最高の製造技術による最高の座り心地が評価され、ニューヨークの近代美術館の永久コレクションに加えられており、家具における不朽の名作の一つです。
マラルンガソファを比類なきソファの名作たらしめている大きなポイントは、背もたれが折りたたみ式で、ハイバック、ローバックの両方を楽しめるというところ。
家具や建築に限らず、全てのプロダクトにおいて可動部分の作り方は慎重にならざるを得ません。力がかかるし、壊れやすいからです。マラルンガの背もたれ可動部分にはカッシーナ独自の技術が盛り込まれ、心血が注がれています。
(↑背もたれの可動部分の興味深いディテール)
僕は家具にそう詳しい方ではありませんが、ソファのイノウエランキングをつけろと言われれば、一位には迷わずマラルンガを挙げます。背もたれを上げてハイバックの状態で深く座ると、立ち上がりたくなくなるほどの心地よさを与えてくれるソファは他にありません。そして背もたれを畳めば低くコンパクトになり、空間に対して軽やかな存在に落ち着いてくれます。
この名作を生み出したのは、メーカーの社長チェザーレ・カッシーナと、デザイナー ヴィコ・マジストレッティのタッグ。
(↑写真:Vico Magistretti)
2人のやり取りでマラルンガは生まれたのですが、こんな逸話があります。
「チェーザレ・カッシーナとデザイナーのヴィコ・マジストレッティが共に目指した開発コンセプトは、最も快適なソファというものでした。マジストレッティは本当にリラックスできるソファには、ある程度の背の高さが必要だと考え、体全体を包み込むようなバックレストの高いデザインをプロトタイプで提案します。しかし、それを見たチェーザレは背が高すぎると言って、バックレストを押しつぶして壊してしまいました。それが、ハイバックとローバックに使い分けられる2WAYという発想のきっかけです。」(Cassina ixcのHPより引用)
カッコよく書いてありますが、僕はコントみたいなやり取りを思い浮かべて思わず微笑んでしまいます。オチは、2人でoh~!とか言いながら見つめあってそう(笑)
フランス語で家具はmeuble=「動くもの」という語彙があります。
2人がそれぞれ主張する「空間性」と「快適性」両方が、家具の本質ともいえる「可動」することで獲得されたわけですね。
そんな逸話を知っているとマラルンガは、家具であることを超えて、空間と人間の身体を調停してくれる、、、そんな存在に見えてきます。
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