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「地域活性化請負人」木藤亮太
大学同窓の木藤亮太が、宮崎県日南市のテナントミックスサポートマネージャーという、英単語が4つも並ぶ肩書きの職に就任しました。
これは、疲弊した中心街の活性化を図るために日南市が全国公募した職で、「活性化請負人」とメディアでも大きく取り上げられたのでご存知の方も多いかと思います。
4年間で20店舗のテナント誘致など非常に高いハードルが設定されているものの、月額90万円という高額委託料(報酬・給与ではない)が注目を浴び、全国から333人もの応募があったそうです。木藤はその激しい競争を勝ち抜いて、日南市と契約することになりました。
木藤に決定したと市長が発表してから、彼の電話は各メディアからの取材で鳴りっぱなしだったそうです。これは、業界だけでなく社会的にも注目度が高いことを示しています。ハッキリ言って妬ましい・・・。電話が鳴りっぱなしでさー、と一度で良いから言ってみたいものです(笑)
妬ましい反面、友人の快挙はとても嬉しく、この関連のニュースや記事にはほとんど目を通しました。(ちなみに公式プロフィールとして用いられているこのポートレートは、僕が木藤から依頼されて撮影したものです。)
その中のひとつ、審査委員長の高尾忠志さんの審査講評を読んで胸が熱くなりました。
「(優秀な応募者の中から)委員会としては一人を選ばなければならない。(略)地域の人々と一緒に走ってくれる人、地域の人々が一緒に走りたいと思えるような人であってほしい。(略)委員からの
『あなたは商店街の一員になってともに汗を流し、一緒に走ってくれますか?』
という趣旨の質問に対して、
『私は、可能であればオフィスを商店街におきたいし、家族と一緒にその上に住みたい』
と明快に答えたのは木藤亮太さんしかいなかった。(略)彼の地域に対する姿勢、熱意、覚悟、誠実さは、審査過程を通じて委員全員に確実に伝わっていたのだろう。全会一致での審査結果であった。」
木藤について、この審査講評と重なる、とても印象に残る話があります。
数年前、彼が主催する「田植えイベント」に誘われ参加しました。
木藤は環境デザイン事務所でまちづくりなどのコンサルタント業務で経験を積んだのですが、在職中、雲仙市からの依頼で棚田の保全に関わる仕事に携わりました。
保全するといっても、棚田は個人の所有であり、実際に使用しているものなので、そう簡単な話ではないらしいのです。むしろ所有者の方が維持の大変さなどから棚田の良さを感じていないこともあり、農家の方とのコミュニケーションがとても大切だと言っていました。
木藤が個人的に企画した田植えイベントは、その農家の方とのコミュニケーションのためだと聞かされました。
「農家の人達と話す時にさ、『あんたみたいな若造は農業を判っとらん!』ってなるワケよ。多少でも理解して話すためには一度自分で米育てるしかないかな、と思って。僕も米育てたことあります、って言えるやん?」
感動しました。
我々が学び、実践している「環境設計」への姿勢はこうあるべきだと思いました。そして同窓の仕事ぶりをとても誇らしく思いました。
この話を聞いた上で参加したことで、自分にとっては関係の無いはずの雲仙の棚田保全に少しでも関わった気がしたのは、このイベントの副産物でした。参加者をこのようなカタチで巻き込むのは彼の強みだし、日南の仕事でも大いに発揮されることでしょう。
改めて高尾審査委員長の審査講評。締めくくりの言葉はこうです。
「木藤さんの覚悟に応えられるかどうか、今度は市民の覚悟が試されている。」
本当にそうだと思うのです。逆に言えば、市民に覚悟を迫るほどのことを彼は4年間でやりつくすことでしょう。
知識やスキルを携え、、、でもそれだけではなく、「覚悟」を持ってその現場に入り込む。彼のような人材が増え、きちんとしたフィーや権利が約束されるようになれば、日本の風景は多少変わってくるのではないでしょうか。
僕がつくる小さな建築も、それが建つ場所の風景を少しでも変えられればと思っています。その取組みには、覚悟が必要なのだと改めて感じました。
友人の快挙と、その快挙の背景にある、彼のシゴトへの姿勢に励まされた出来事でした。
改めて、キトティンおめでとう!
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